厚生労働省は7月21日にステロイド薬であるデキサメタゾン(デカドロン)を、新型コロナウイルス治療薬として承認したためまとめていきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の治療薬の現状については下記の記事にまとめていますのでよろしければご一読ください。
デキサメタゾン(デカドロン)
デキサメタゾンは様々な疾患に利用されるステロイド薬であり、日本国内ではすでに他疾患の治療で使用されている薬剤になります。
作用機序
重症COVID-19患者は、肺障害および多臓器不全をもたらす全身性炎症反応を発現
する。コルチコステロイドの抗炎症作用によって、これらの有害な炎症反応を予防または抑制する可能性が示唆されている。
海外での臨床報告
英国で行われた入院患者を対象とした大規模多施設無作為化オープン ラベル試験では、デキサメタゾンの投与を受けた患者は、標準治療を受けた患者と比較して死亡率が減少したことが示された。 この研究は6,425人の参加者を対象に行われ、デキサメタゾン群2,104人、対照群4,321人が 参加した。デキサメタゾン群の参加者の21.6%、対照群の24.6%が、試験登録後28日以内に 死亡した(RR 0.83;95%CI、0.74-0.92、P <0.001)。予後改善効果は、無作為化時に侵 襲的人工呼吸管理を必要とした患者で最大であり、この集団の29.0%が試験登録後28日以内に死亡したのに対し、対照群では40.7%であった(RR 0.65;95%CI, 0.51-0.82, P < 0.001)。 また登録時に酸素投与を必要としたデキサメタゾン投与群の21.5%が登録後28日以内に死 亡したのに対し、対照群では25.0%であった(RR 0.80;95%CI、0.70-0.92、P = 0.002)。 しかし、登録時に酸素投与を要しなかった集団では予後改善効果はみられなかった(RR 1.22;95%CI、0.93-1.61、P = 0.14)。
日本での臨床報告
本邦ではデキサメタゾンが使用された報告はないものの、プレドニゾロンなど他の種類のステロイド薬が使用された症例報告は散見される。なお、デキサメタゾンは現在の承認の範囲内で新型コロナウイルス感染症に対しても使用可能である。
投与方法(用法・用量)
・デキサメタゾンとして6mg 1日1回 10日間(経口・経管・静注)
経口・経管:デカドロン錠4mg 1.5錠(必要時粉砕)
静注 :デキサート注射液6.6 mg/2mL 1バイアル全量
(デキサメタゾンとして6.6mg=デキサメタゾンリン酸エステルとして8m)
(本邦で発売されている注射剤は1バイアル6.6㎎であり、利便性の点より1バイアル投与の推奨となった。しかし、臨床報告ではデキサメタゾン6mgが使用されていたため、1回投与量については各施設で判断すること)
投与時の注意点
・40kg未満ではデキサメタゾン0.15mg/kg/日への減量を考慮する。
・妊婦・授乳婦にはデキサメタゾンは使用しない。コルチコステロイド投与が必要な場合、プレドニゾロン40mg/日を考慮する
・肥満・過体重では用量につき個別に検討する。
・血糖値測定やリスクに応じた消化性潰瘍の予防も検討する。
まとめ
新型コロナウイルスの治療薬も徐々に承認されてきていますのでこれからも新しい情報を確認してきたいですね。
参考:http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_drug_200730.pdf
コメント