簡易懸濁法について

医薬品・医療
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令和2年4月の診療報酬改定で経管投与支援料が新たに設定されました。

そこで今回は簡易懸濁法についてまとめていきたいと思います。

診療報酬改定のまとめは下記の記事にまとめています。

簡易懸濁法とは

簡易懸濁法とは、錠剤粉砕やカプセル開封をせずに、錠剤・カプセル剤をそのまま約55℃のお湯に入れて10分ほど放置して崩壊懸濁させて投与する方法です。

約55℃の温湯の作り方

・60 度設定にしたポットの湯を冷まして使用する

・熱湯:水道水=2:1で混ぜる

※55℃の湯が良い理由
日本薬局方ではカプセルは「水 50mL を加え、37±2℃に保ちながらしばしば振り動かすとき、10 分以内に溶ける」と規定があります。37℃以上の温度に10 分間保つための最初の温度が 55℃なのです。温度が低すぎると溶けにくく、高すぎると固まってしまったり、成分が分解したりします。

簡易懸濁法のメリット

・治療薬選択範囲の拡大
錠剤・カプセル剤の中で簡易懸濁法で経管投与できる薬品は約91%と多く治療の幅を拡げることができる。(粉砕法では約58%)

・医薬品の安定性保持
投与直前まで製品包装のまま保管でき、薬剤に安定性が確保できる。
(粉砕では製品包装から取り出し、粉砕後に再分包が必要となる)

・配合変化の回避
錠剤のまま保管するため、保存期間中の配合変化を回避できる。
(複数の薬剤を粉砕・混合した場合は、保管期間内に配合変化を起こす薬剤もある)

・調剤時間の短縮
粉砕する時間を節約できるため薬を準備するまでの時間が短く済みます。

簡易懸濁の注意点

・放置時間
約55℃のお湯に入れて長時間の放置は有効成分の分解や配合変化などの危険性があるため10分を超えて放置しない。

・55℃にすると安定性に問題が生じる薬剤
原薬が100℃以下で分解する薬剤は簡易懸濁法に適さない。

エンドキサン錠:融点:45 ~ 53℃ 、高温で分解の可能性あり

・温度が高いと添加剤により固まる薬剤
添加剤にデンプンやマクロゴール6000などを含有する薬剤はお湯の温度を高くしすぎると崩壊・懸濁時に固まってしまう。このような薬剤は温度が少し低くなってから薬剤を入れればよい。
例:ビオフェルミン配合散、タケプロンOD錠など

・簡易懸濁法に適していない剤形
徐放性製剤は過度の薬効が現れる可能性があり簡易懸濁法に適さない。
例:ニフェジピンCR錠など 

まとめ

簡易懸濁法は個々の患者に適切な薬剤や剤形選択など薬剤師の知識が活かせる場面であると思います。経管投与支援料が今回の診療報酬改定で設定されましたのでしっかり説明できるように勉強しておきましょう。

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